いて座にある散光星雲です。 前を横切る暗黒星雲があり、星雲の一部がぽっかりと干潟のように切り出されているのでこの名前があります。 肉眼で見た場合は一番明るい部分がぼんやりと光のシミに見える程度で、干潟を見るには写真の力を借りる必要があります。
今まで星野・星団と撮ってきました。 α700でHα線が写ることも分かりました。 M7で30秒程度なら直接焦点・ガイドなしで撮影できることも分かりました。 そうするとやっぱり星雲を撮ってみたくなるわけです。 M8を選んだ理由は、夏に見える散光星雲というほかに、比較的明るい(6等)ということが挙げられます。 暗いと探しにくいですし、写るかどうかの保証もありません。 6等ならまぁ何か写るでしょう。
M8の位置ですが、いて座の南斗六星をひしゃくから柄の方へ追いかけていき、柄の先っぽのμから南へ3度ほど下がって11番星を探し、そこから約2度西方向、若干南に下りたところにあります。 スコープでは光のシミに見えます。 μを視野の端のほうに入れれば、M8も同じ視野に入るでしょう。 このあたり、やはり天の川の中なので、星雲・星団がいろいろありますが、M8が一番明るいので間違うことはないでしょう。 すぐ北に三烈星雲M20があってよくセット売りされていますが、今回は撮っていません(写野に入っていません)。 もう少し焦点距離が長ければ同じ写野に入ったんでしょうけど。
ここにM8の位置を示したいて座の写真が入る予定です。 撮り忘れたので気長にお待ちください。m(_ _)m
余談ですが、いて座の南斗六星のひしゃくの部分は、6×30(8度)のスコープでいい具合に視野に収まります。 双眼鏡で追う場合も参考になるでしょう。
とりあえず露出をISO1600・20秒にして、ドライブモードを連写にしてケーブルレリーズをロックして放置。 フィルタとしてLPS-V4を入れています。 67枚撮れたので、最初と最後にダークフレームを1枚撮っておいて、dcrawでダークを引きながら現像して、ImageMagickで縦横半分に縮小、RegiStax5.1でてきとーにスタックしたのがこれ。 これが全体像になりますが、さらに50%縮小して載せています。 元は2144×1428ピクセルです。 サムネイルは星像を強調してあります。 この段階では左が北です。
RegiStaxは最初6を使っていたのですが、どうもうまく位置合わせができなくて(使いこなせていないとも言う)、5.1でやることにしました。 5.1だとAlignbox Sizeを256、Processing areaを512ピクセルにして、中央の特徴的な星列を指定したら一発で位置が合いました。 なんとなーく中央にそれらしきモノが写っているように見えるので、トーンカーブを調整してみます。
こんないい加減な撮り方でもとりあえず写っています。 コンポジット恐るべし。 ただ、LPS-V4を使っているので、赤プレーンは露出不足でノイズだらけです。
ということで、赤プレーンだけ露出を上げて撮り直し。 ISO感度は1600から上げたくないので、露出時間を伸ばすことにします。 ・・・伸ばしたらピリオディックモーションが・・・なのですが、dcrawとImageMagickで赤画素だけを抜き出すつもりなので、結局解像度は半分なわけです。 つまり、ピリオディックモーションが倍あっても大丈夫なわけです。 というわけで5分露出で撮ったのがこれ。
本当はコンポジットするはずだったんですが、途中でダークフレームを撮って、続けて5分×2枚撮って、さあ今日はおしまいだ、網戸を閉めようと思ったら、網戸はすでに閉まってました。(・_・) ダークを撮る時に網戸を閉じて、その後開けるのを忘れたんですな。 ということで、コンポジットなしのdot by dotをトリミングしてあります。 露出が長い分、どうしても星像が大きくなります。 このまま先ほどの画像と合成すると、星の周りに赤いにじみが出てしまいます。 これは振動もピリオディックモーションも関係なし。
結局、星は目立たない程度に消してしまって、残りの濃淡だけを合成することにしました。
うまい具合に消えるもんでしょ? 星マスクの大きさを調整する部分でピリオディックモーションも振動も全部チャラ。 あとは乗算モードで赤で塗って、緑・青用の画像と重ねて、撮った日が違う関係で向きが違ってるので回転して合わせて、コンポジットしてない関係でノイズが多い赤プレーンだけ「選択的ガウスぼかし」をかけ、トーンカーブ調整して終わり。
90度右に回して上を北にして、星像を大きくしてから縮小し、640x480にトリミングしたのがこれ。
■カメラ:α700(ソニー)
■FC-76(高橋製作所 D=76mm f=600mm F7.9)直接焦点
■撮影地:千葉県千葉市
■EM-1(高橋製作所)で自動追尾(ガイドなし)
■以下の2枚の画像の合成。
□2012年8月20日 20時40分頃からISO1600・20秒で67コマ露出、dcrawで現像、ImageMagickで50%に縮小、RegiStax 5.1でコンポジットした画像
□2012年8月21日 20時30分頃 ISO1600・5分露出、dcrawとImageMagicで赤画素だけ抜き出した画像
M8 NGC6523 干潟星雲 : 散光星雲 赤経18h04m 赤緯-24度22分 距離2500光年 大きさ44'×26' 実視等級6等 (天文年鑑2012年版、2012.5分点)
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