これのことです。
部品の追加では「bv」という名前になっています。 説明は「Arbitrary behavioral voltage soruce」、無理やり訳せば「好きな挙動をさせられる電圧源」といったところ。 他の例えば「Volrate dependent voltage source」(電圧依存電圧源、部品は「e」)には電圧入力端子があるのに、こいつにはありません。 これはこう使います。
要するに好きなノードや電流を基にして、好きに数式で電圧を決められます。 式は波形ビュアーで使うものと同じです。 入力端子が欲しい気もしますが、逆に入力端子に縛られず、複数のノードを入力とすることもできます。
もう少し実用的な例。 arctan(tanの逆関数)は、定義域は実数全体で、値域は-π/2からπ/2まで、単調増加します。 また、原点を通り、原点での微係数は1です。 これは動作点付近のゲインが1で、±π/2でゆるやかにクリップする増幅器として使えます。
式 y = a・F(b・(x-c)) + d を考え、これを微分してみます。 ただし、d/dx F(x) を f(x) とします。
d/dx { a・F(b・(x-c)) + d }
= a・f(b・(x-c))・(b・(x-c))'
= ab・f(b・(x-c))
合成関数の微分を使っています。 F(x)=arctan(x) の場合、f(0)が1なので、この変換を行うと x=c 付近でのゲインが ab になります。
これを利用してゲインが10倍のアンプを作ってみます。 値域が±π/2では使いにくいので、例えば0〜5にしてみます。 a=2.5×2/π=5/π、d=2.5です。 入力も2.5を中心に動くようにしてみます。 c=2.5です。 ゲインを10、つまりab=10にするためには、b=10π/5にする必要があります。 結局、こんな感じ。 arctanはatanと書いてもOKです。 πは「pi」が使えます。
電源電圧で飽和して欲しい適当な増幅器が欲しいときに便利。 部品にしておくともっと便利。
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$Id: bv.htm,v 1.1 2011/04/09 15:50:13 you Exp $