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VJEのススメ

●VJEシリーズ
 VACSあるいはダイナウェアが開発した日本語入力フロントエンドプロセッサ(FEP)。 つまりかな漢字変換ソフト。 今で言うところのIME。 現在はIMEといえばWindowsに標準で付いてくるMS-IMEが幅を利かせていて、あとはATOKが健闘している程度だが、昔・・・そうだな、1990年前後・・・はいろいろなFEPがあって、 VJEにも比較的熱心なユーザーがいた。

 ATOKがジャストシステムの一太郎・花子に付いてくるのに対し、VJEは(たぶん)ダイナウェアのダイナデスクに付いてきた。 ただ、FEPはある程度の互換性があったので、一太郎をVJEで、あるいはダイナデスクをATOKでという使い方もできた。 一太郎・花子が「できないことはない」と言われる一方で、WYSIWYGでなかったことや、動作が全般に重かったのに対し、ダイナデスクはできることは限られていたが、WYSIWYGで、比較的軽かったので、当時はダイナデスクの方が使いやすかった記憶がある。 WYSIWYGの方が軽いというのも変な話だけど。

●FEPの操作とキーバインド

 カタカナ入力はカタカナモードにしてから入力すればいいのだが、ひらがなとカタカナが入り乱れると非常に煩雑な操作になるので、普通はひらがなのまま一気に入力して、変換機能でカタカタに変換する。 たまに辞書にないカタカナ言葉が出てくると変換できないのだが、カタカナにする部分を文節として選んで、[F7]を押すとその文節がカタカナになる。 これがカタカナ(後)変換で、覚えると非常に便利である。 同様に、ひらがな・半角・アルファベットへの変換もある。

 今のFEPのキー配列(キーバインド)は基本的にATOKのものが採用されていることが多い。 特に、ひらがな変換[F6]・カタカナ変換[F7]・半角半角[F8]・アルファベット変換[F9]の4つはほぼ共通と言ってよい。 また、文節の移動・伸縮にはカーソルキーを使う。 この配置は分かりやすいのだがひとつ大きな欠点がある。 それは「指の位置が大きく動く」ことである。 タッチタイピストにとってはこれは許しがたい欠点になる。 また、ノートPCではキーボードによってこれらのキーの位置が若干異なることが多く、慣れていない環境で入力すると指が勝手に変なキーを押していることがよくある。

●VJEとの出会い
 バイト先がダイナデスク+VJEという組み合わせで、文書はダイナデスクで書くことになっていた。 テキストエディタはMIFESだったのだが、FEPがVJEなので、日本語の文書を書くときには必ずVJEのお世話になる。 ファンクションキーでなんとなくひらがな・カタカナ変換はできるのだが、普通の後変換とは違ったようで、これは最後まで意味が分からなかった(説明書見ろって)。 日本語入力はATOKから入ったクチなので、これは正直面食らった。 なんて使いにくいFEPなんだろう、と思いながらしばらくの間は文書を書いていた。

 それが、何で気がついたんだろうか。 ある日、[Ctrl]+[K]でカタカナ後変換ができることに気づいた。 MIFESで[Ctrl]+[K]は「行末まで削除」だったので、変換途中なのに行末まで削除しようとしたのかもしれない。 「あっ」と思ってあてずっぽうで押していくと、[Ctrl]+[J]がひらがな、[L]がアルファベット、[O]が半角変換になっていた。 これは右手のホームポジションか、それに近い位置で操作できる。

 さらに、MIFESはいわゆる「ダイヤモンドカーソル」、つまり[Ctrl]+[E][X][S][D]で上下左右に動く(なんでこのキーなのかは配列を見ればすぐ分かる)タイプのエディタだったのだが、もしやと思って変換中にこれらのキーを押してみると、[Ctrl]+[S]が左文節、[Ctrl]+[D]が右文節、[Ctrl]+[E]が前候補群、[Ctrl]+[X]が次候補群になっていた。 つまり、ダイヤモンドカーソルをベースとした操作体系になっていた。 文節伸縮はというと、[Ctrl]+[Q]と[Ctrl]+[W]である。これらは全部左手のホームポジション近くで操作できる。

 これに気づいてからは「使いにくい」という感覚が一変、「VJEというのはなんて使う人のことをよく考えたFEPなんだろう」と思うようになった。

●VJEのキーバインド
変換[変換]
全確定[Enter]
確定取消[無変換]
次文節[Ctrl]+[D]
前文節[Ctrl]+[S]
文節伸張[Ctrl]+[W]
文節短縮[Ctrl]+[Q]
次候補[変換]
前候補[Shift]+[変換]
次候補群[Ctrl]+[X]
前候補群[Ctrl]+[E]
ひらがな後変換[Ctrl]+[J]
カタカナ後変換[Ctrl]+[K]
アルファベット後変換[Ctrl]+[L]
半角後変換[Ctrl]+[O]

 他にもあると思うが、よく使うのはこのくらい。 見て分かるとおり、ファンクションキーとカーソルキーをまったく使わずに変換操作が可能である。 ATOKはスペースキーが変換キーとして割り当てられていたのに対し、オリジナルのVJEはスペースキーは変換キーではなく、必ず全角スペースが入るようになっていた。 つまり、変換は必ず[変換]キーを押さなければならない。 半角スペースは[Ctrl]+[Space]で入力する。 前からそうだったかどうかは忘れたが、少なくとも今はそうやって入力している。

 実はMS-IMEの設定で、VJEのキーバインドを選ぶことができる。 タッチタイプを習得して、日本語入力がカッタルイと思っている方は是非実践を。 この設定は未来永劫なくさないで欲しいなぁ。

 ちなみに、自分は「窓使いの憂鬱」で[Ctrl]と[Caps]を入れ替えている。 このキーバインドたと、AT互換機の[Ctrl]の位置だと指がつりそうになるので、変えておいたほうがいいだろう。 Win2k以降ならばこの入れ替えはレジストリだけでも可能なはず。 さらに、FEPに入るキー操作を[Alt]+[半角/全角]ではなく、[Alt]+[変換]に変えている。 これが意外に使い勝手がよくて気に入っている。

 エディタは秀丸+MILIKE.keyを少しいじって使っている。 MIFESは検索次候補がファンクションキーに割り当てられているのだが、これが気に入らなかったので、検索次候補を[Shift]+[Ctrl]+[Z]に、前候補を[Shift]+[Ctrl]+[E]に割り当てている。 本当は次候補は[Shift]+[Ctrl]+[X]に割り当てたかったのだが、ハードウェアの制限からか、うまく認識してくれなかったので、この割り当てに落ち着いている。

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$Id: vje.htm,v 1.2 2010/05/22 06:22:52 you Exp $