You - 背景の写真たち

　月食自体は皆既でしたが、半ば遊びで撮ったので、皆既中の写真はありません。今回の月食は、月が地球の陰の比較的長いところを通ったため、非常に皆既が長い月食でした。月が地球の陰に入っていても、太陽の光が地球の大気で曲げられて月面に届きます。このため、ぼーっとした赤い色になりますが、影の場所によって光の届き方が違うため、皆既中も時々刻々と明るさ・色が変わっていきます。

　いつもの機材による直接焦点撮影です。月食は食分（欠け具合）によって、また、明るい部分と暗い部分のどちらを撮影したいかによって露出を変える事になります。明るい部分だけを追いかける場合（広角レンズによる多重露出のときとか）は理論的には満月と同じ露出で撮っていけばOKのはずですが、これだと皆既中の月は全然見えなくなりますので、皆既前後だけ露出を変えるのが普通・・・なのかな？

　この写真は暗い部分の方をお目当てに撮影したものです。露出は長めで、8秒～30秒で段階露出しています。確か5分ごとに撮った中の一枚だと思いますが、カメラの日付記録用の電池がヘタっていて、フィルムに写しこまれた時間が読めなかったのでした（自爆）。

　太陽光が地球の大気中を通って月面に届き、赤っぽくなった月の色をお楽しみください。

　デジタルカメラといっても、天体用の冷却CCDカメラとか、高級なレンズ交換型一眼レフデジタルカメラではなくて、普通の普及型デジタルカメラの話です。

　天体望遠鏡で写真を撮影する場合、普通は直接焦点撮影（接眼鏡を外し、対物レンズの焦点位置にフィルムが来るようにカメラをセット）か、拡大焦点撮影（接眼鏡で像を拡大し、その焦点位置にフィルムが来るようにカメラをセット）を用いますが、この二つの撮影方法ではカメラのレンズは使いません（外して使う）。普及型デジカメではレンズが外せませんから、これらの撮影法はデジタルカメラ本体をを改造しないと無理ですね。

　この他にコリメート法という撮影方法があります。これは、望遠鏡は普通に目で観測する状態にしておき、目の代わりにカメラを置いて撮影する方法です。カメラには撮影レンズを付けたままです。これならばデジタルカメラでも撮影できます。アダプタも必要なくお手軽な撮影方法なのですが、たいてい手持ちで撮影することになるので、長時間の露出には向きません。三脚に固定したとしても、天体望遠鏡は天体を追いかける（追尾）ようにできているのが普通ですので、やはり長時間の露出はうまくいきません。追尾を止めると今度は星が動いていってしまいます。長時間撮影したい場合はどうにかして鏡筒へ固定しないといけません。

　したがって、暗い対象を撮影するのには向きません。月や惑星を撮影するのに向いています。今回も皆既中の月を撮影しようと思ったのですが、思ったより暗くてちょっと無理でした。デジタルカメラの場合、撮影した像をその場で確認できますから、失敗したらその場ですぐやり直しが利き、最適な露出条件を決めるのも楽です。試しに食分0.3くらいの月を撮ってみました。

　誰のせいか分かりませんが、撮ったままの画像には分光現象が若干見られたので、フォトレタッチソフトで二倍に拡大して、RGBプレーンを最適に見えるようにずらしてから再合成・縮小・アンシャープマスクをかけています。月食の時は当然満月なので、月面に月自身の凹凸による影がなく画像としては面白くないんですが、画質は直接焦点撮影に迫る勢いですね。ホワイトバランスをオートにしたため、非常に白っぽくなってしまいました。今度撮る時は太陽光あたりに固定してやってみよっと。

月 : 地球の衛星半径1738Km 平均距離38万4400Km 平均視半径15'33" 平均等級（満月）-12.7等

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