[Go home] [Go up]

換気と冷暖房

☆自然換気

 我が家は北玄関で南北方向に長い間取りになっているので、南北方向に風を通す。1Fは玄関横スイング連窓とリビングの窓(掃出窓かボウウィンドウのスイング窓)を開け、リビング入口のドアを開け放つ。他に窓があるのは風呂場・洗面所・台所。

 2Fは南洋室と北洋室の窓・ドアを開け放つと一直線に風が通る。西洋室はバルコニーの掃出窓とクローゼットのスイング窓を開け、クローゼットのドアを開け放つ。他に階段にも窓がある。
☆機械換気

 換気扇があるのは風呂・台所・トイレ二箇所と換気システム。トイレは5分タイマーなので常時換気の効果はあまり期待できない。換気システムは後述。

 風呂の換気扇を回すときは、風呂の窓を開けるより、風呂の窓とドアを閉め、ドアの換気口を開け、洗面所の窓を開けたほうが通気距離が長くなる。防犯上などの理由で洗面の窓を閉めたい場合は、玄関ホールには一切吸気口がないため、リビングか台所のドアを開け、リビング窓の換気框か台所の吸気ガラリを開け、ここから吸気させる。

 ・・・しかし、なんで「ガラリ」って言うのかなぁ。「ガラリ」と開くからか?

 風呂の換気扇を回したまま風呂のドアを閉めると、吸気抵抗の力をかなり感じる(それだけ気密性が高いと言うこと)。ラッチをやわらかめに調整してもらったため、丁寧に閉めないとすぐに開いてしまうので注意。閉めても開いてしまう場合はドア下の吸気口が開いているかどうか確認する。

 台所の換気は、通常、ガスコンロを使うときに、吸気ガラリを適当に開け、換気扇を回す。ただし、これだとガスコンロまわり以外の空気はあまり入れ替わらないので、台所全体の空気を入れ替えたいときや、リビングに侵出してきた台所のにおいを排気したいときは、逆に吸気ガラリを閉める。その上で、台所の空気だけを入れ替えたければ、台所入口のドアを少し開け、ホールの窓を開ける。リビングも換気したい場合は、リビング・台所のドアを閉め、リビング窓の換気框から吸気させる。特に、食洗機を使っているときはちゃんと換気しておかないと、食器乾燥時に湿気がリビングに流入することになってしまう。

 なお、風呂の換気扇を回しているときは、吸気ガラリを開き、台所入口・洗面のドアを開け、ホール・洗面の窓を閉めれば、台所→ホール→洗面→風呂という換気経路を作ることができる。防犯上の観点からも、夜中はこの経路がお勧め。
☆換気システム

 換気量が足りないと、2Fホールにある換気システムが自動的に作動する。ホールが高温になったときも運転する。何度かそういう場面に遭遇した。「高温」ってどう判断するんだろう? と思ったのだが、夏場は外気温よりある程度高くなったときに運転するようである。

 換気システムが動いているときに吸気口はどこか? と考えると・・・専用のものはないのである。リビング階段の我が家では、階段の換気框が閉まっていると、リビングの換気框や台所の吸気ガラリから吸気してしまう。階段の窓の換気框はちゃんと開けておく。
☆全体換気と局所換気

 換気の方法には自然/機械換気の他に、全体/局所換気という分け方もある(勝手に命名してみた)。全体換気は建物全体、あるいはフロアごとに換気する方法。局所換気は部屋ごとに換気する方法。局所換気は換気扇+窓一箇所か、窓二箇所を開けて換気する。換気扇を使う場合、吸気側の窓は少し狭く開けると、空気の流れが速くなり、周りの空気を多く巻き添えにしてくれるので、換気効果が高くなる。

 局所換気をする場合は窓二箇所か窓+換気扇の組み合わせが必要になるので、なるべく各部屋はこの条件を満たすようにプランを立てる。各窓・換気扇の距離は離れている方がよい。
☆リビング階段と冷房・除湿

 リビング階段の場合階段部分が吹き抜けになって、密閉構造になっていない。ご存知のように冷たい空気は下へ集まろうとするので、この状態でも冷房はちゃんと効く。階段を上っていくと、1Fの天井から上へ頭が出た瞬間に「うげぇ、あぢぃ〜」となる。空気と言うのはこんなに混じらないものなのか、というのを実感できる(笑)。

 問題は湿度である。湿気(水蒸気)は湿度が高いほど多く、低いほど少ないのはもちろんだが、同じ湿度ならば気温が高いほど多いことも忘れてはならない。湿気には「水蒸気圧」という概念があって、湿気が多いところは水蒸気圧が高く、少ないところは水蒸気圧が低い。そして、湿気は水蒸気圧の高いところから低いところへ流れて、全体の湿気の量が均一になる方向へ向かう。つまり、水蒸気は気温とはあまり関係なく、湿気の少ない方へ流れ込んでいこうとする。

 もし、2Fは換気していて、1Fで冷房しているとすると、2Fの水蒸気圧は外気とほぼ一緒でかなり高い状態になっている。1Fでは冷房しているから温度が低く、水蒸気圧も低い状態になる。すると、2Fの方が圧倒的に水蒸気圧が高いので、2Fから湿気がどんどん流れ込んでくる。このせいで冷房が効く割に除湿が全然効かない

 温度が下がっても湿度が下がらないから蒸し暑く感じるが、だからといって設定温度を下げると最悪の場合結露する。正しい対処法は「2Fの(全体)換気をやめること」である。特に、階段の窓は必ず閉めること。換気をやめれば、湿気の性質から、温度は下がらなくても湿度は下がるはずである。
☆夏場の換気

 外気温が室内より低くなったら積極的に換気するのがコツ。建物内部の温度を下げないと絶対湿度量が減らないので、換気しないと内部が結露する恐れもある。例えば、昼の気温が33度、湿度が80%だったとすると、飽和水蒸気量は35.6g/m3なので、水蒸気量は28.5g/m3。もし、昼の最高気温の頃に窓を締め切り、そのまま夜になって28度まで気温が下がると、28度での飽和水蒸気量は27.2g/m3なので数字の上では結露することが分かる。

 高断熱住宅ならば外気温が下がってもすぐには室温は下がらないので、実際に結露することは少ないだろう。では、果たして夜は換気した方がよいのか、しない方がよいのか。もし、夜の気温が28度で、湿度は昼より高く90%だったとしても、飽和水蒸気量が27.2g/m3なので、水蒸気量は24.5g/m3である。雨が降ってるとか、霧が出ているとかいうのではない限り、換気した方が水蒸気量は減ることが分かる。

 夜になったらある程度空気を入れ替えて、それからエアコンをかけて除湿なり冷房なりをかければよい。その方が当然省エネになる。積水のマニュアルにも「夜は風通しをよくし、建物の熱を内部から冷やしましょう」と書いてある。なお、盛大に窓を開け放って冷房・除湿をしてはいけない。外からどんどん湿気が入ってくるので、特に冷房の時にはエアコンに結露が生じる。エアコンをかける前には窓を閉めること。

 私の部屋は、換気後にカラッと除湿の白くまくん(99年製)でお洗濯除湿モードにすると、あっという間に湿度50%以下になる。このとき、ついでに押入・クローゼットも全開にして空気を入れ替えるとよい。
☆冬の加湿

 健康のために冬は加湿する人も多いだろう。ただし、開放型、つまり排気を室内に出しているタイプの石油・ガス暖房器具を使っている人は加湿してはいけない。これらの暖房器具は暖房するときに水蒸気も発生するから。例えばメタン(CH4)が燃えると、CH4 + 2O2 → CO2 + 2H2O となるから、1m3のメタンが燃えると2m3の水蒸気ができあがる(!)。したがって、加湿しなくても十分に湿度は維持できるし、逆に換気しないと結露する

 強制給排気式、つまり「エントツ」付きの暖房器具を使っている人や、電気暖房の人は暖房すると湿度が下がる。強制給排気式は出来上がった水を室外に捨ててしまうし、電気式はそもそも水が発生しない。この状態で温度を上げるから、湿度は下がる。

 湿度が下がると同じ温度でも寒く感じる。特に、エアコンから風が出ている間はかなり寒く感じる。寒いので温度を上げたくなるが、温度を上げると電気代がかかる上、湿度はさらに下がるからお肌や健康にもあまりよくない。温度を上げる代わりに加湿したほうが賢い。

 ただし、温度を上げたまま加湿してはいけない。夜、暖房器具を止めた後、確実に結露する。加湿する場合は温度も湿度も低め(18度50%程度)にするのがコツ。この程度に抑えておけば、室温7度程度までは結露しない。もし、室温25度のまま湿度を50%にしてしまうと、室温13度程度で結露してしまう。もっとも、25度50%だとかなり暑く感じるはずだが。なお、加湿する場合はクローゼットなどは締め切ること。

Copyright (C) 2002-2007 You SUZUKI

$Id: ventilate.htm,v 1.3 2008/07/06 09:50:44 you Exp $