インターネットだ、イントラネットだ、SOHOだ、家庭内LANだ、と世の中はお祭り騒ぎしてますが、雑誌の受け売りで何も分かってないお偉方さんもいらっしゃるようです。LANって一体何? LANを入れると何ができるの? っていうのが分かってなければ、導入しても無駄なだけです。先にそれを考える事にします。
LANって何? | (02 Jun 2003) | |
LANとインターネット | (02 Jun 2003) | |
その他の言葉 | (02 Jun 2003) |
LANって何? | |||
とりあえず、LANについて私が知っていることを説明しておきます。
LANって何?
Local Area Networkの略。一般的には一つの建物の中とか、そんな範囲で張り巡らされたコンピューターネットワーク。事業所間をまたぐようなネットワークは普通WANと呼ばれる。他にVAN(Value Added Network)という言葉もあったが、ほとんど死語のような気もする。
コンピューターネットワークって?
通常、二台以上のコンピューターなどを接続し、データのやりとりや資源の共有を行う仕掛け。
資源の共有って?
あるマシンから他のマシンにつながった機械を相互に利用する、ということ。通常はハードディスクやプリンタなど。OSによっては相手先の機械でコマンドを実行できたりするので、この場合はメモリーやCPUまでも共有していると考えることもできる。
まず、資源の共有でしょう。PCが3台あるとして、プリンタが1台だったり、あるいはプリンタは3台あるけど、ドットインパクトとカラーのインクジェットとレーザーで用途が違うという場合、使いたいプリンタが、あなたが使っているPC(とりあえず自PCと呼びましょう)ではなく、他のPCにつながっていたらどうします?
すぐに思い付くのは「フロッピーディスク(などのリムーバブルメディア)でデータを持ち運ぶ」でしょう。しかし、もし使いたいプリンタがつながったPC(とりあえず印刷PCと呼びましょう)で、そのデータを印刷できない(印刷するには対応アプリケーションが必要ですよね?)場合にはどうしましょう?
知っている人は「プリンタへの出力をファイルに落とし、それを持っていってDOS窓でCOPYコマンドを実行」すると思いますが、最近のインクジェットは10MB単位のデータを平気で吐き出しますので、メディアに入りきらないという事が起きます。MOやスマートメディアなら入りきるでしょうが、印刷PCで読み込めなければどうしようもないですよね。
他に、「プリンタをつなぎ替える」「プリンタ切り替え機を導入する」という選択肢もありますが、プリンタの設置場所が一階と二階だったりするとかなりお手上げに近いです。
LANにした場合、プリンタを共有できる設定にしておけば、自PCから印刷PCを通して、印刷PCにつながったプリンタにアプリケーションから直接印刷できてしまいます。OSの設定がきちんとなされていれば、この間の面倒な処理は全部OSがやってくれます。もちろん、印刷PCとプリンタの電源は、てくてく歩いていって自分の手で入れてあげてください。印刷結果は手で持ち帰ってください(笑)。
他にも、ファイルの転送はもちろん、LAN上のデスクトップPCにつながった大容量HDDをノートPCのバックアップメディアにしてしまったり、デスクトップPCのCD-ROMをCD-ROMのないノートPCから見たり、時間のかかる処理は早いPCにやらせたり、できることはいろいろあります。頭を柔らかくしていろいろ考えてみましょう。
Unix系OSなんかは初めからコンピューターネットワーク上で使うことを想定しているので、特にデメリットはありません。LAN上のホストがコケると、その資源を共有していたホストが道連れになってコケることがありますが(NFSなんかで多い)、その場合はスタンドアロン(ネットワークに接続しない状態)で立ちあげ直せば済む話です。
NT/2000以外のWindows系OSは、元々スタンドアロンで使うことを前提としてシステムが生まれてきたので、ネットワークシステムは「後から付け足した」感じが強く、ネットワークに接続すると余計な操作を強いられることが多いです。具体的にはパスワードを入力するダイアログが余計に出たりします。
Windows 3.1まではネットワークがコケると一緒にOSもコケていましたが、Windows 95以降では比較的コケないようになりました。条件によってはコケる事もありますが、最初の設定をうま〜くこなせば、リブートすることは希なはずです。
Windows 2000はさすがにサーバーOSがラインナップされているだけのことはあり、ネットワーク環境はかなりマシになっています。ネットワークにつなぐ/つながないで挙動が大きく変わることもほとんどありません。VPNなんかの応用的な分野は比較的使いやすくできていますが、核の部分はUnixの方が一枚上かな。
WinXPとMacについては、使ってないのでよく分かりません。
LANとインターネット | |||
ここまで説明してきたLANは、外界につながっていない、「閉じたネットワーク」でした。閉じたネットワークでも利点は十分にあるのですが、外界に接続することでもっと便利になります(ならない人もいるかも)。ここで通常、「外界」=「インターネット」なわけですが、LANとインターネットの関係についてちょっと考えてみます。
インターネットって何?
基本的にはLANとLANをある規則に従ってつなげたもの。普通、IP(Internet Protocol)という規則でデータのやりとりが行われ、既にインターネットにつながっているLANに、適当な方法で自分のLANをつなぎ、IPアドレスを割り当ててもらって、自分のLANへの経路を登録してもらうと、インターネットにつながっているマシンが見えるようになる。実際にはこの他に、最低でもドメイン名とDNSの登録が必要になるだろう。
インターネットって面倒くさい?
面倒くさいと思う人はいわゆるプロバイダを使えばよい。プロバイダにダイヤルアップ接続すると、プロバイダのLANに電話線で接続したことになる。プロバイダのLANは既にインターネットにつながっているから、これでめでたくインターネットにアクセスできるようになる。って、これを見てる人は既にインターネットは接続済みだと思いますが。(^-^;
LANをプロバイダ経由でインターネットにつなぐと?
インターネットにつなぐには、インターネット中で一意に定まっている「IPアドレス」をもらわないといけない(グローバルIPアドレス)。プロバイダ経由でインターネットにつなぐと、その時に空いているIPアドレスを自動的にもらえるのだが、普通、もらえるのは一つ。IPアドレスはマシン1台につき少なくとも1つなければならないが、この接続形態ではLAN内のマシン全部に対してグローバルIPアドレスを割り当てることはできない。そこでローカルなIPアドレスを割り振ることになるのだが、プロバイダは自分で勝手に作ったLAN内の経路までは知らないから、経路制御を自分でやる必要がある。普通は「ダイヤルアップルーター」などの機器が解決してくれる。
一般的な話をすると、電子メールが使えるとか、Webサイトやニュースが見れるとか、FTPでいろいろなソフトウェアやデータをダウンロードできるとかありますが、別にこれはスタンドアロンなPCでプロバイダに接続してもできますから、LAN特有のメリットというわけではないですね。
ISDNルーターなどを使ってきちっと設定を行えば、1回線で、複数のPCから、同時にインターネットに接続できます。これがLANをわざわざ組んでインターネットへ接続する場合の最大のメリットでしょう。家族みんなでインターネットする(この言葉もかなりヘンだが)ご家庭ではかなり便利なはずです。
外界につながるわけですから、セキュリティーに気を遣う必要があるのは確かですが、これはLANを組まずにスタンドアロンで運用した場合でも同じですね。LANの場合、ルーターがプロバイダに接続するとLAN内のすべてのPCがインターネットに接続したことになるので、すべてのPCについてセキュリティーに気を遣わなければならない点がスタンドアロン運用と異なりますが、反対に、何か問題があったときにルーターで対応できることもあるので、一概にLANにするとセキュリティーの管理が面倒になる、というわけでもありません。
それと通信費。LANの場合、ルーターが自動的に接続・切断を行います。ルーターは切断のタイミングを知ることができないため、「1分データが流れてこなければ切断」といった判断で切断を行っています。みんなで同時にインターネットに接続していれば通信費の節約になりますが、バラバラに接続しに行くとこの「1分データが流れてこなければ」が災いして、回線がダラダラつながることになり、特に時間課金の場合は通信費が増大します。
また、1分10秒ごとに5秒のアクセスを3回行う場合、ルーターが1分で回線を切断してしまうと、電話代は30円かかります。もし、ルーターが3分で切断するようになっていれば、このアクセスは2分35秒で終わりますから、電話代は10円で済みます。このあたりもよく考えて、全体の運用を行う必要があります。定額制プロバイダ+テレホーダイ時間帯や、キャリアからISPまで全部定額ならばあまり関係ありませんが。
他にも、LAN内のPCを指定するつもりでホスト名をミスタイプすると、名前解決のために外のDNSを見に行ってしまい、余計な通信費が発生します。Windows 98の「オートアップデート」の設定を間違っていると、頻繁に接続しに行ってしまうなどの現象もあります。ルーターを買ったらしばらくは接続状況を確認しておく方がいいでしょう。
その他の言葉 | |||
LANに関係するその他の流行語 :-)
を集めてみました。
イントラネットって?
インターネット上で使われているさまざまな約束事やソフトウェアを流用して構築した企業内の情報システムの事らしいです。この言葉、私は好きじゃないです。
SOHOって?
Small Office / Home Officeの略。意味通りにとれば、自営業から社員10人程度の事業所「そのもの」や、在宅勤務の事だろうが、通常はそのような事業所で使用されるネットワークシステム全般の事を指すようだ。この言葉もあまり好きじゃないな。ホンマにSOHOの人に「SOHOですね」って言うのは抵抗ないけど、何の事業もしてないのに言葉だけに躍らされて「SOHOだ」と騒いでいる人は「分かってんのかいな?」という気分になる。こういう人は悪徳業者にハマらないように注意してね。
事業や在宅勤務を始めてみて不便を感じるようになってからLAN環境構築を考えても間に合います。普通は。
常時接続って?
「常につながっている」ことですが、「常時接続」とうたっていても、実際はそうでない / そうは使わないことも多いです。フレッツADSLは「常時接続」と言われますが、ADSLルーターを使わずにPCから直接接続している場合、PCの電源を落としてしまえばIP的には接続が切れますよね(ADSLモデム的にはつながっていますが)。
「つなぎっぱなしにしていても通信費が一定である」くらいに捉えておいた方が無難でしょう。「固定のグローバルIPが割り当てられていて、自分が自宅のPCの前にいなくても、世界中のあらゆる場所から自宅のPCにいつでもアクセス可能」というのが理想です(狭義の常時接続?)。でも普通はそうじゃないでしょ?
ブロードバンドって?
直訳すると「広帯域」、つまり帯域が広いことです。この場合の帯域とは通信速度のことだと思って差し支えありません。反対語はナローバンド、つまり「狭帯域」です。どの程度からブロードバンドになるかは時代と共に変わります。昔はモデム(2400〜14400bps)がナローでISDN(64K〜128Kbps)がブロードでしたが、今はISDNがナローでADSL/光(1.5Mbps〜)がブロードです。
関連語として「ブロードバンドコンテンツ」という言葉があります。ブロードバンド環境だと快適に閲覧できるコンテンツ(内容=サイト上で提供されているモノ)という意味です。理論的には時間をかけてダウンロードしてしまえばナローだろうがブロードだろうが見れないものはないので、個人的には「ムダに大きいコンテンツ」のことだと思っています。例: Flashアニメーションで作った、操作可能になるまでに10秒かかるくせにスキップできない、サイズが1Mバイトのメニュー。
ちなみに、電話程度なら64Kbps、FM放送程度で256Kbpsもあれば十分です。ビデオでは1Mbps以上欲しいですが、あまりにでかいと今度はビデオを表示するPCの方の能力が足りなくなって、結局あんまり意味がなかったりします。
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$Id: whatslan.htm,v 1.5 2008/06/09 12:13:11 you Exp $